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穏やかな時間(とき)の中で…

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直木賞受賞作「恋歌(れんか)」朝井まかてさん著(講談社)

2月を迎えました
先日、第150回芥川賞・直木賞の発表がありましたね

芥川賞、広島出身の小山田浩子さん『穴』
(「新潮」9月号 初ノミネートでの受賞)受賞

直木賞は、朝井まかてさん『恋歌(れんか)』(講談社)
姫野カオルコさん『昭和の犬』(幻冬舎)の2作が受賞


地元では、好調なセールスをみせる『穴』
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そして、『恋歌』を購入
(小山田浩子さんの『穴』はまだ未読)

朝井まかてさん『恋歌(れんか)』を拝読☆

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(講談社 2013/8/22)

◎中島歌子
明治時代の歌人。弘化(こうか)元年(1844)12月14日生まれ
歌日記『秋の道しば』など

水戸藩士林忠左衛門と結婚。元治元年(1864)天狗党の乱にくわわった夫と死別
のち加藤千浪(ちなみ)へ学び、東京小石川で歌塾「萩の舎」をひらく
門人に、三宅花圃(かほ)、樋口一葉など
明治36年(1903)1月30日 60歳死去


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~あらすし~

師の歌人・中島歌子が入院中…。樋口一葉の姉弟子、三宅花圃は
留守宅の、荷物整理をしていると長文の書き物を発見する
それは歌子自身による、半生を綴る手記だった
歌子の女中・澄と共に読みすすめる

かつては、人気歌塾「萩の舎」の主宰者として、一世を風靡していた歌子
何を想い、心へ秘めていたのか…

安政年間、桜田門外の変の後。幕末の江戸
水戸藩の定宿池田屋。裕福な商家の娘、歌子(登世)は
恋を成就させ、水戸藩の天狗党の志士。林忠左衛門以徳へ嫁ぐ

尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党は、やがて諸生党との…内部抗争を繰り拡げ
天狗党の乱が起き、水戸藩を崩壊させる

諸生党が実権をもち、夫と離ればなれとなった歌子は、逆賊の身内となり
義妹てつとともに、自らも投獄されてしまう

次々に藩士や、妻子たちが処刑や惨殺されてゆく…獄舎での生活
過酷な運命へ翻弄しつつ、死と向き合いながら
生きること、愛する人への想い…

“君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ”
代表歌に込められた。あまりにも切なく…美しい物語


~感想~

始まりから、三宅花圃(女性初小説「藪の鶯」を描いた)からみた
樋口一葉の人物像
一葉の才能を早くから見いだし、養子として迎えたかった
歌子のエピソードへ、引き込まれてゆきます

激動の時代、幕末の水戸藩の藩士へ嫁いだものの
愛する人へ逢えない…もどかしさ

内乱に巻き込まれ、天狗党の妻子達も捕縛され
歌子が獄舎で経験する。冷酷な描写を読み進むと
胸をかきむしられる様で、とても悲しみがつのります

武田耕雲斎の長子、彦左衛門の妻いく
三人の子供(男児)が処刑され、自ら絶食し…命を絶つ

「辞世の句」も、いくつかご紹介されてますが
家老、武田耕雲斎の妻・延は、幼いわが子金吾(3才)が処刑後
見届けた後…(夫の首を抱かされ)斬首される

延が我が子によせ、詠んだ辞世の句
「山吹の 実はなきものと思えども つぼみのままに 散るぞ かなしき」

惨たらしい死と真向かい合った。率直な叫びが伝わり…
悲惨な現状へ、切なくて涙が溢れて来ます

ですが、身分の高い妻達は、厳しい生活を強いられていても
最後まで凛として品格を失わず、望みも捨てず
子供達の恐怖を和らげるために、教養を身につけさせたりと
歌子(登世)も、句詠み遊びをしてみたり
当時の女性達の力強さへ、感心するばかりでした

数年後には、徳川時代が終わりをつげ
維新から取り残された。水戸では「諸生党」と「天狗党」との
立場が逆転し 生き残った親族による。苛烈な復讐の連鎖…

やがて解放され、親の元へ戻る事が出来た…登世は
明治になり、歌の道へ進みはじめ歌人・中島歌子として有名になっていく

時代へ、翻弄されつつも…過酷な運命を生き抜いた女流歌人・中島歌子
封印されていた、心の慟哭が伝わるような…

終盤には、歌子が、この手記を誰に読んで欲しかったのか?
理解でき、抱えてきた呪縛から解放されたみたいに
ストーリーへ、優しく寄り添ってきます

今まであまり知り得なかった
樋口一葉さんの、厳しいお師匠さんしか?(笑)
イメージも浮かばなかった。中島歌子さん
そして、「天狗党の乱」の女性達へ、スポットが当てられ
読み応えたっぷり

「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもおしえよ」
この和歌に触発された。朝井まかてさんの表現力に
美しく温かな読後感が広がりましたね

様々な句も掲載され、やはりこの百人一首が心へ響きました★
「瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)の
  われても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ」百人一首 崇徳院(77番)
ha77
(浅瀬の流れが速くて、岩にせき止められている滝川が2つにわかれても
また合流するように、仲を裂かれて別れさせられても、将来はきっと、必ず逢おうと思う。)


第150回芥川賞・直木賞贈呈式は
今月中旬、東京都内にて開催(賞金各100万円)
 

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4 Comments

itatchi  

No title

最近は、若い女性の受賞がめずらしくなくなった芥川賞、直木賞。
広島大学出身、広島在住の方が、受賞されると、地元贔屓で、ちょっと嬉しいですね。

Labrisaさん、さっそく、受賞作を読破されたんですね。
あらすじだけ知っても、読みごたえありそうなお話しですね。最近、女性作家の作品、なかなかチカラワザの作品が多いです。
幕末はどうしても、血なまぐさいことが多い時代ですから、怖いシーンが多いのかなぁ~。痛そうなそうなシーンがダメなのです。

姫野カオルコさん、やっと取ったかっ!!って感じ。
好きな作家さんの一人です。ハルカエイティも面白かったし、なんといっても<ツ・イ・ラ・ク>。この作品は、素晴らしいので、おススメです。ちょっとエロティックなんですけどね。

2014/02/01 (Sat) 18:43 | EDIT | REPLY |   

マリア  

No title

こんばんは。
朝井まかてさんの作品って、スゴク面白い本が多いです(o^o^)o。投獄のところ怖くって耐えられず、とちゅうから読めなくなりそうですね(-_-;)。

2014/02/02 (Sun) 01:51 | EDIT | REPLY |   

Labrisa  

Re: No title

itatchi さん こんにちは
コメントを下さり、ありがとうございます

小山田 浩子さん、広島へ縁の深い方だけあって
受賞後の反響も、地元では凄かったですよね!
「穴」が発売した時は、書店でも山積みで販売されていましたし
今後のご活躍も応援したくなりますでしょう

さすが、itatchi さん。色々なジャンルもお読みになられてますね☆
姫野カオルコさんの「ハルカエイティ」
主人公のハルカや登場人物達も、魅力的な作品

<ツ・イ・ラ・ク>←まだ未読でして、ご紹介ありがとうございます
今度チェックしてみますね~(^^ゞ

>怖いシーンが多いのかなぁ~。痛そうなそうなシーンがダメなのです。


時代考察された投獄エピソードは、私も辛くて途中で止めようかしら?と
思ったぐらいですが(笑)
フィクションですから、昨年のNHK大河ドラマ「八重の桜」みたいに
いずれ映像化して欲しい作品ですし、読んで良かったと想える小説でしたよ(*^^*)

2014/02/02 (Sun) 09:51 | EDIT | REPLY |   

Labrisa  

Re: No title

マリア さん こんにちは
コメントを下さり、ありがとうございます

朝井さんの今までの作風と異なり、
幕末の動乱が描かれてますから
少し、読み難さを感じられましたね(^_^;)

晩年はおっとりとした。気ままにみえる主人公も、不条理な時代で生き延びたこと
ノスタルジックで、一途な愛が、深い悲しみを募らせます

ですが、時を経ても繋がっている愛情へ、“救い”“許し”が
みえて来て、感動する作品ですので
マリア さんも、機会がございましたら
読んでみて下さいね(*^^*)

※拍手コメントを頂いた方も、本当に有難うございました☆

2014/02/02 (Sun) 10:23 | EDIT | REPLY |   

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